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C**R
西洋美術史を俯瞰できる名著
本書は英語で読める西洋美術の通史としては、もっとも人気があり、かつ、もっとも評価の高いものだろう。本書の著者E. H. Gombrich(1909-2001)は20世紀を代表する美術史家だ。彼の邦訳書も多く、本書も『美術の歩み』(1972)、『美術の物語』(2007)と二度にわたって翻訳されている。本書の流れは、ラスコーやアルタミラの洞窟壁画から始まり、古代エジプト、メソポタミア、古代ギリシャ・ローマを経てヨーロッパに続き、その後は「西欧」を中心に年代記的に記述されていく。ときに中国、近世に入れば日本などについて章が割かれているとはいえ、西洋的な進歩史観を引きずっているのではないかと思われる方もいるかもしれない。しかし著者はそれを承知のうえで “わかりやすさ” を優先し、あえて単線的な美術史の流れを提示しているのだ。また、本書は11版(1966)から15版(1989)にいたるまで、版を重ねるごとに著者自身により加筆訂正されている。そのため初版が1950年でありながら、ジャクソン・ポロック(1912-1956)やジョルジョ・モランディ(1890-1964)の後期作品など、「現代アート」の部類に括られる芸術家まで射程に入れられている。まえがきで著者が十代の読者を想定したと述べる通り、本文はやさしい文法と語彙で書かれており、美術史家にありがちな回りくどいレトリックもない。くわえて地味にすごいのは、数千年におよぶ美術史が本書に掲載されている図版だけで説明されていること。限られた数(全413点)の作品だけで、これほど過不足なく解説できるのは偉業というほかないだろう。はじめて美術史を勉強するのなら、間違いなくおすすめできるテクストだ。ハードカバー版であれば、かさばる分、文章と図版が同一ページに掲載されているので、絵を見ながら文字を追うことができる(ポケット・エディションは、本文ページと図版ページが分かれている)。以下は目次。Introduction - On art and artists1. Strange Beginnings - Prehistoric and primitive peoples Ancient America2. Art for Eternity - Egypt, Mesopotamia, Crete3. The Great Awakening - Greece, seventh to fifth century BC4. The Realm of Beauty - Greece and the Greek world, fourth century BC to first century AD5. World Conquerors - Romans, Buddhists, Jews and Christians, first to fourth century AD6. A Parting of Ways - Rome and Byzantium, fifth to thirteenth century7. Looking Eastwards - Islam, China, second to thirteenth century8. Western Art in the Melting Pot - Europe, sixth to eleventh century9. The Church Militant - The twelfth century10. The Church Triumphant - The thirteenth century11. Courtiers and Burghers - The fourteenth century12. The Conquest of Reality - The early fifteenth century13. Tradition and Innovation I - The later fifteenth century in Italy14. Tradition and Innovation II - The fifteenth century in the North15. Harmony Attained - Tuscany and Rome, early sixteenth century16. Light and Colour - Venice and northern Italy, early sixteenth century17. The New Learning Spreads - Germany and the Netherlands, early sixteenth century18. A Crisis of Art - Europe, later sixteenth century19. Vision and Visions - Catholic Europe, first half of the seventeenth century20. The Mirror of Nature - Holland, seventeenth century21. Power and Glory I - Italy, later seventeenth and eighteenth centuries22. Power and Glory II - France, Germany and Austria, late seventeenth and early eighteenth centuries23. The Age of Reason - England and France, eighteenth century24. The Break in Tradition - England, America and France, late eighteenth century and early nineteenth centuries25. Permanent Revolution - The nineteenth century26. In Search of New Standards - The late nineteenth century27. Experimental Art - The first half of the twentieth century28. A Story Without End - The triumph of Modernism
ん**?
意外と読みやすいかも
日本語訳が品切れ入手困難なので、とりあえず購入。英文のボリュームは凄いが、掲載の絵が誰の作かある程度わかっていれば、斜め読みも出来る。これを見ていって、日本語が面倒でなくていいなと思ったら、んヶ月待ちで日本語訳を注文すればいいかも。
大**ー
西洋美術史通史の決定版
『美術の物語』は西洋美術史の通史であり、一人の著者によって書かれた通史というのは、おそらく他に例がない。(ジャンソン父子の『西洋美術の歴史』(創元社)も名著であろうが、親子であり、著者は二人である。) 一人で太古から現代までの歴史を取り扱うためには、跳び抜けて博識である必要があるだけではない。それらの知識・情報を一つながりのものとして提示する必要があり、その基礎に芸術の営みについての深い洞察がなければならない。ゴンブリッチは「歴史」をひとつの「物語」として語る。注意して読むとそこにはエジプト美術から現代アートに至るまでの「物語」を貫く「筋」が設定されていることが分かる。この「筋」がこの書物を分かりやすく、魅力的なものにしているのである。とまあ、ここまでは日本語版でも同じことなのだが、今回英語版を参照したのは、日本語版を何回も読むうちに、原文での表現が気になって来たためである。実際にあちこちつきあわせてみて、二つのことを感じた。まず、ゴンブリッチの英語がかなりくだけたいかにも英語らしいものではないかということ(彼は本来ドイツ語を母語としている)、二つ目に邦訳(長谷川宏他訳)が日本語的にかなりこなれた訳になっていることだ。ということは、日本語の表現には注意が必要である。厳密な議論のためには、必ず原文を参照する必要があると思った。
S**Y
日本語版の増刷ができるまでは英文で
日本語版か完売状態だったので、こちらを購入。ソフトカバーで、気楽に読めます。が、やはり写真の色と大きさが、予想したよりも暗い感じで、お安く手に入ったのは良いのですが、やはり日本語版が増刷されたら、そちらも購入しようかな?
Trustpilot
1 month ago
3 weeks ago